「…同情?」
「正直、私だってあの子たちと同じです。公に悪口を言ったりはしてないけど、心の中では先輩のことすごく見下してました。ちょっと顔はいいけど、他はなんの取り柄もなくておどおどしてるような人で。でも、眩しい律希が選んだのはそんな美緒先輩で。一番惨めなのは叶わないってわかっていながら、当て馬でしかいられない私だってこともわかってます。美緒先輩の悪いところを探して、必死に自分を自分で慰めるしか私はやっていけないから…っ。選ばれた人には絶対私の気持ちなんてわかるはずがない…!」
沙耶ちゃんは今にも泣き出してしまいそうなほど顔を歪めながら、ぐっと強く唇を噛み締めていた。
「…私には、沙耶ちゃんも律希と同じくらい眩しくうつってるよ」
「…え?」
「私の知らない律希を沙耶ちゃんが誰よりも近くで見てきたことは、どう頑張ったって今更変えられないから。できることなら私が沙耶ちゃんよりも先に律希を見つけたかった。今律希の彼女でいられることは奇跡だと思ってる。この先もずっと律希の隣にいられるかなんてわからないもん。…だから不安なの。沙耶ちゃんは可愛くて真っ直ぐで、一途で自分の気持ちをはっきりと言葉にして伝えられる強い女の子だから、私なんかじゃ到底敵わない。醜くて惨めなのは、私の方だよ」
沙耶ちゃんは驚いたように目を見開くと、慌てたように顔を背けてきた。
「…先輩が不安がることなんて何一つないのに」
「え?」
「来て」
なぜか顔を真っ赤にしている沙耶ちゃんが私の腕を掴むと、グラウンドの方に戻っていった。
ちょうど律希の借り物競走が始まったところで、トップバッターである律希がスタートラインに並んでいた。
「正直、私だってあの子たちと同じです。公に悪口を言ったりはしてないけど、心の中では先輩のことすごく見下してました。ちょっと顔はいいけど、他はなんの取り柄もなくておどおどしてるような人で。でも、眩しい律希が選んだのはそんな美緒先輩で。一番惨めなのは叶わないってわかっていながら、当て馬でしかいられない私だってこともわかってます。美緒先輩の悪いところを探して、必死に自分を自分で慰めるしか私はやっていけないから…っ。選ばれた人には絶対私の気持ちなんてわかるはずがない…!」
沙耶ちゃんは今にも泣き出してしまいそうなほど顔を歪めながら、ぐっと強く唇を噛み締めていた。
「…私には、沙耶ちゃんも律希と同じくらい眩しくうつってるよ」
「…え?」
「私の知らない律希を沙耶ちゃんが誰よりも近くで見てきたことは、どう頑張ったって今更変えられないから。できることなら私が沙耶ちゃんよりも先に律希を見つけたかった。今律希の彼女でいられることは奇跡だと思ってる。この先もずっと律希の隣にいられるかなんてわからないもん。…だから不安なの。沙耶ちゃんは可愛くて真っ直ぐで、一途で自分の気持ちをはっきりと言葉にして伝えられる強い女の子だから、私なんかじゃ到底敵わない。醜くて惨めなのは、私の方だよ」
沙耶ちゃんは驚いたように目を見開くと、慌てたように顔を背けてきた。
「…先輩が不安がることなんて何一つないのに」
「え?」
「来て」
なぜか顔を真っ赤にしている沙耶ちゃんが私の腕を掴むと、グラウンドの方に戻っていった。
ちょうど律希の借り物競走が始まったところで、トップバッターである律希がスタートラインに並んでいた。

