六月の月に愛を誓う。

「…ううん、絢斗だけが悪かったわけじゃない。私だって、もっと自分の気持ちを言葉にして伝えればよかったって後悔してた。…それに、私にとっても過去は過去なの。だからもう気にしてないよ」


今更何を言ったって、過去はもう変えられることはできない。

どんな事情や思いがあったとしても、私たちは別れてそれぞれの三年間を過ごしてきた。

そして今があるんだ。


「…私、帰るね」

「…え？」

「言ってなかったけど、彼氏ができたの。後輩なんだけどね、すごく真っ直ぐで眩しくて優しい人なの。男の子の家に上がったなんて知られたら、不安にさせちゃうしもう帰るね。漫画はありがたいけど、いらない。気になるものはバイト代で買ってるし、かなりの漫画読んでるからきっと読んだことあるかもだし」

「…そっか」


絢斗に微笑みながら「じゃあね」と残し、家を出る。

私たちはこの三年間でお互いの環境も想いも何もかもが変わってしまった。

今更あの頃に戻るなんてことはもう絶対にできない。


今の私の隣には律希がいて、絢斗の隣にだって違う女の子がいるかもしれない。

あの頃と変わらないことなんて今は何一つ残っていないんだ。