六月の月に愛を誓う。

断る前に絢斗が歩き出してしまい、慌ててその後を着いていく。


え?家?どうしよう、行かないって言うタイミング逃しちゃった…。

どうしようかと悶々と考えていると、すぐに着いたアパートの一室に絢斗が鍵を回して開け、中に入るように促してきた。


「ここが俺の家。一人暮らししてるんだ」

「へぇ、一人暮らし…」

「親が離婚してからこの街にはもう帰ってこないと思ってたんだけど、高校はどうしても今のところに通いたくて、必死に頼み込んで今は叔父さんのアパートに住まわせてもらってるんだ」

「…え?離婚?」


コップに入った二人分の麦茶を持って戻ってきた絢斗が、少しだけ悲しそうに笑った。


「そう。中二の時に。美緒たちの前から急にいなくなったのも、親の離婚が理由なんだ。説明される間もなく急に父親に連れられて遠い田舎に引っ越して、電波も何もないところだったからスマホもずっと使ってなかったし捨てた。美緒を苦しめてまで続けてたサッカーも、あっさり辞めたんだよ。馬鹿みたいだよな。きっと罰が当たったんだ」


どうして何も言わないでいなくなったんだ。それほど私のことを嫌いになってしまったんだ。

そう絢斗を心の中で責めて勝手に思い込んでいたけど、絢斗にも絢斗なりの事情があったんだ…。

それも、あんなに頑張っていたサッカーを辞めたほどの。


「まあ、今はもう時間が過ぎてぐちゃぐちゃだった気持ちの整理もついた頃だし。過去は過去、そう割り切ってるよ。お金に余裕がなくてこっちに戻ってきてもサッカーは続けられなかったけど、それでも今の生活には満足してる。また美緒に会うことができたから。ずっと謝りたかったんだ。あの頃の俺は自分のことでいっぱいで、全然美緒を大切になんてしてあげられてなかったなって、離れてすごくよくわかった。美緒がどれほど俺を支えてくれていたのか、気遣ってくれていたのか失ってから気づいた。ごめんね、俺はそんな美緒に気づけなくてずっと苦しめてしまって」