六月の月に愛を誓う。

「そんなこと言うけど、毎年梨花と行ってて一度も着たことないじゃん…」

「それはそれ、これはこれよ!せっかくのデートなんだから、ちゃんと可愛くしていってあげなって」

「で、デートなんかじゃないよ…!」


慌てて否定すると、梨花は何かを含んだようなニヤニヤとした顔をしながら「ふーん?」と言うだけだった。


「梨花は、今年は夏祭り行かないの?」


その視線に耐えられなくなって無理矢理話を変えると、なぜか髪の毛をまとめてくれていた梨花の手がぴたりと止まった。


「…梨花?」

「え?ああえっと、実は夏祭り一緒に行かないかって誘われてて、今年はその人と行くつもりかなー」

「へえ、誰に誘われたの?私も知ってる人?」

「…瑛太」


驚いて思わず振り返ると、梨花は少し気まずそうに視線を逸らしていた。


「真中くん、と…?」


真中くんとは高校が離れてしまい、卒業してから一度も会っていないし連絡も取っていなかった。