六月の月に愛を誓う。

ぺこりと軽く会釈をしてからその場を離れる。

まさかこの出会いがこれからの運命を大きく変えていくなんて、この時の私は思いもしていなかった。





「なあ、望月」


休み時間に梨花と話していると、数回喋ったことのある男子生徒が私たちの前にやってきた。


宮野律希(みやのりつき)って、知ってる?」

「みやのりつき…?知らないけど…」

「一個下の後輩なんだけど、昨日望月と廊下でぶつかったって」

「廊下…?…ああ!」


もしかして、あの犬に似ていた茶髪の子だろうか。


「そいつが昨日望月に会ってひとめ…じゃなくて、えーっと、話してみたいと思ったらしくて、連絡先教えてあげていい?俺の中学の後輩なんだけど、すっげぇいいやつだからさ」

「え、あ、うん」

「本当か!わかった、ありがとな」