六月の月に愛を誓う。




「意味がわからない…。なんで?なんであいつがいなくなるんだよ…っ!」


机を乱暴に拳で叩きつける梨花の手を、真中くんがそっと包み込んで止めた。


「きっと絢斗にも何か事情があって…」

「事情って何!?私たちにも何も言わないでいなくなった理由って、一体なんなの!?」


絢斗と別れたあの日、泣きじゃくり動くことができなかった私を見つけ出してくれたのが梨花だった。

梨花は冬休みに私の家に泊まりにきてくれて、空いてしまった心を埋めるようにずっと一緒にいてくれた。


梨花のおかげで私は冬休みが明けてからも学校に来れたのに、始業式の日、絢斗は転校したと担任から聞かされた。

理由を聞いても教えられないと言われるだけで、絢斗が転校してしまった理由を知る人は誰もいなかった。


「スマホも繋がらないし、家にだってもういなくて、本当にどこに行ったの…」

「…梨花、もういいよ」

「でも…!」

「私はもう絢斗の彼女でもなんでもない。何か事情があるのかもしれないけど、もう会えない。私は会いにいけないからもう、いいの」


手放してしまったのは、私だ。

あの時、絢斗を追いかけていれば。

行かないでと叫んでいれば。


絢斗は私の前からいなくならなかったのかな…?

ねえ、教えてよ絢斗…。