六月の月に愛を誓う。

美緒と矢野が復縁してから瑛太と頻繁に会うことも増え、ある日の帰り道に“彼氏欲しいと思わないの?”と瑛太に聞かれた時に答えたやつだ。

あの頃はまだ矢野を信じていたわけじゃないし、それは今日までずっとそうだった。

だけど本当に幸せそうに笑う美緒を見て、やっと信じることができた。安心ができた。


「…わかんない。なんか幸せそうな美緒のこと見てたら、もうそれで十分っていうか…自分のことまで考えてなかったから」


瑛太とそういう雰囲気にならなかったわけじゃない。

何度かはあったけど、その度に美緒の話をして私は逃げていた。

瑛太からも、自分の気持ちからも。

いつだって大好きな美緒の幸せばかりを願っていたから、いざ自分のこととなっても今更考えられない。


「梨花!」

「…え?」


突然駆け寄ってきた美緒が、私の手にブーケを渡してきた。

さっきから女子たちがそわそわと気にしていたあのブーケトスのブーケを。


「…え、これブーケトスで使うやつだよね?なんで…」

「あれ、言わなかったっけ?ブーケトスはやらないよ。だってこれは梨花にあげるって最初から決めてたんだから」