六月の月に愛を誓う。

“絢斗から新着メッセージ一件”という表示をタップすると、LINEのトーク画面が開かれ、猫の可愛らしいアイコンが出てきた。


絢斗:漫画、読んだ?


それは絵文字も何もない簡潔な文章だった。

それでも矢野くんからメッセージをくれたことが嬉しくて、急いで返信をする。


すると、LINEをずっと開いていたのか、すぐに既読がついた。


美緒:今ちょうど読み終わったところ!すごく面白くてあっという間だったよ。

絢斗:明日また持ってく。次も面白いよ。


矢野くんのメッセージにうさぎのOKスタンプを返して、LINEは終わった。


それからも矢野くんから漫画を借りたり、逆に私もおすすめを貸したりしていくうちに、だんだんと話すことが増えていった。

LINEで漫画の感想を言い合ったり、他愛もないことを話す毎日が当たり前になっていった。


「はあー…。テストまであと一週間かあ…」


七月に入り衣替えもすっかり終わった頃、期末試験が近づいてきた。


「あ、そうだ!今日ファミレスで勉強して帰ろうよ!数学教えてほしいー!」