王子は香水姫を逃さない

 公爵となっても、家族や使用人を大切にする。
 威張ったりしない。
 人として、本当に尊敬される父を誇りに思う。
 私も少しは恩返し出来たのなら良いのだが。

 婚約式の前に、我が家にアーサーが挨拶に来た。
 目にも麗しい正装だ。彼の出立前の姿を思い出した。

 まさか、この姿を私の求婚のために見せてくれる日がくるとは、夢のよう。
 部屋で、向かい合って手を握り合った。

「アーサー様、ひとつ聞き忘れたことがあります。」
「なんだい?」

「模擬試合の前に、考えがあると言っておられたでしょ。まさか、反乱があるとわかってたわけではありませんよね?」

「もちろんだよ。模擬試合が終わったら、皇太子に声をかけて、王様と隊長に私の魔力を実際に見せようと思っていた。競技場は広いし、皆が下がったあとなら、魔力を見せやすいからね。それが、まさか実戦で使う羽目になるとは。来賓にも知られたから、裏目に出たよ。」

「そうでしたか。まぁ、シュルト国にとっては、脅威に映ったことでしょう。その後反乱が収まっていることもそれが理由でしょう。」