芽依(めい)。あんた、いつまで大晦日の失恋引きずってんの?」
「良いでしょ、別に……」
「大晦日に縁が切れて、良かったと思うよ。厄払いになったんじゃない? 私は元々、あの男は嫌いだったし」

 女子高時代からの友人である麗香(れいか)とは、社会人になってからも付き合いが続いている。
高校卒業以降の進学、就職先は別だったが、勤めている会社の距離が近いため時々、昼休みにランチをしたり、終業後に愚痴と近況報告をしながら食事をする。

 気心知れた友人とは言えども、もう少しオブラートに包んでほしい……と思うこともあるが、彼女のアドバイスは、だいたい的を射ている。

 大晦日から、もう三ヶ月が過ぎた。来週からは新年度だ。確かに、そろそろ気持ちを切り替えても良いのかもしれない。いつか、仕事にまで支障が出る前に。

 気持ちを切り替えるとは言っても、恋愛はしばらく休憩しようと芽依は思った。

 しかし、思いもよらないアドバイスが麗香から飛んできた。