八神タタラとあたし。

少年のお芝居。

ああ、忘れている。


暗いぬばたまの闇。


僕たちは忘れている。


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あたしは八神タタラ。黒い髪に黒い瞳。茶色の古びたコート、淡い黒のワンピース、ソックスに茶色のブーツ。ハイスクールの学生。


ハイスクールで演劇が演じられる。


「ああ、忘れている。忘れている」

「六月うさぎ、何を忘れているんだい？」

「自分自身を忘れている。気忙しい毎日。他者からの評価。僕たちは自分自身を忘れている」


少女らが演じる演劇であった。少女は少年の扮装に扮してお芝居に興じる。


「お芝居とは自分自身を見つめ直す手段だ」

「おや、チャシャ猫。そんなことを言うのかい？」

笑いが起きる。残酷なそれであった。


少年のチャシャ猫は抗議すると。

「偉大なる王女の治世下、かくなることは起こりますまい」


ああ、忘れている。

僕たちは忘れている。