カレーをたくさん食べ、皿洗いを済ませた後、桜士たちは椅子に座って黒羽村で起こったことなどを振り返り、話をしていた。リティクは先ほどからずっとキッチンにいる。

「みんな、食後のドリンク持って来た」

リティクは、コップを六つ持ってリビングに戻って来た。透明なコップの中身は透明で、恐らく水だろう。

そう思い飲んだ五人だったが、最初に異変に気付いてコップから口を離したのは桜士だった。口の中に独特の味と辛味が広がっている。

「リティクさん、これはお酒じゃないですか!!」

「あっ、間違えた」

リティクがそう言った刹那、桜士の目の前に座っていた一花の体が前に倒れる。おでこをテーブルに強打する直前、何とか桜士が彼女の体を支えた。一花の顔は真っ赤になっており、眠ってしまっているようで意識がない。

「一花、お酒めちゃくちゃ弱いんだぞ。リティク何やってんだよ」

ヨハンが呆れたように言い、リティクが「ごめん……」と明後日の方向を見ながら謝る。だが、桜士は目の前で無防備に眠っている一花に見惚れていた。

(お酒、弱いのか……。可愛いな)