Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

(何故、こんなにもまだ表情が暗いんだ?もしかして、まだ何かあるのか?)

桜士が慎之助と鈴芽に声をかけようとすると、トイレに行っていた武夫が部屋に入って来る。そして椅子にドサッと腰掛けると、静江が手にお酒を待ってやって来た。次に、お寿司がたくさん入った寿司桶を手に薫子が入って来る。

「いや〜、面倒くさい健康診断のあとはこれだな!」

武夫はそう言った後、ギロリとこちらを睨み付ける。そして怒鳴った。

「早く酌をせんか!気が利かん女どもだな!」

「は、はい!すみません!」

鈴芽が肩を震わせ、目に涙を浮かべながらも武夫の元に近付き、彼の待っているお猪口に酒を注いでいく。

「は?」

目の前の光景が信じられず、桜士の口から言葉が漏れてしまう。鈴芽は看護師で、ここはキャバクラではなかったはずだ。だが今、そういうお店のような光景が目の前にある。

「おい、その人は看護師で酒を注ぐ必要なんてないはずでしょう!!」