「武夫さん、静江さん、検尿に行って来てください。健康診断ですから……」

オドオドした様子を見せながらも、鈴芽が未だに座り込んでいる武夫と、無表情でその隣に立っている静江に近付く。鈴芽が武夫の前に立った刹那、彼はニタリと気持ち悪い笑みを浮かべた。

「検尿してほしかったら、もっとこっちへ来い!!」

「きゃあッ!」

武夫は鈴芽の手を引っ張り、無理矢理抱き寄せる。そして、鈴芽の臀部を何の躊躇いもなく撫で始めたのだ。

「ッ!」

「最近の若い看護師はスカートを履かないのが残念だ。スカートを履け!女は男にサービスしないとダメだろう?」

鈴芽の表情は桜士の方からは見えない。だが、彼女が震えていることは嫌でもわかる。合意なく相手に触れることは犯罪だ。桜士が止めに入ろうとすると、一花が素早く武夫の腕を掴み、ツボを押した。激痛が走ったのだろう。武夫は鈴芽を離す。

「痛ってぇだろうが!!」

憤慨する武夫に対し、一花は怯むことなく冷たい目で彼を睨み付けた。