どこへともなく、無言で歩いた。
はやく竹中君の前から消えたかった。
そして、竹中君も同じホテルにいるんだと思うと震えてくる。
だけど柊は、いつも通りのテンションで言う。
「竹中のことは気にするな」
気にするなって言われても……気にするよ。
それに柊は何も思わないの?
柊は続ける。
「あいつの女、妊娠してたよな。
よく来るよな、こんなところまで」
そうなんだ。
それじゃああの事件があった時、竹中君には彼女がいたの?
それとも、その後に付き合ったの?
そんなことを考えると、さらに気分が落ち込む。
「みどり、楽しいこと考えるぞ!
……分かった!
お前の言う通り、シュノーケリングしよう!」
あ……
分かった。
柊は無理しているんだ。
だって、なんだかテンション高いもん。
竹中君の一件があったあとも、柊は異様にテンションが高かった。



