だけど柊は言った。
「最近、何回かあります」
「マジ?あれってマジで時間が止まったりするの?」
大迫さんが興奮するから、やっと分かった。
スポーツ選手がゾーンに入ると、時間がゆっくりになったりするという、あれだ。
そしてあたしはもちろん、そんなことはない。
「スローモーションになる感じですかね」
柊は言う。
「でも、二回だけ、マジで時間が止まった時がありました。
周りの音も聞こえず、進む道が見える、みたいな」
「あんた、やっぱり頭狂ってるんだ」
そう言いながらも、柊はすごいと思う。
サッカーで悟りの境地に入ってしまうんだ。



