次の日……




柊さんは、いつも通り何食わぬ顔でトレーニングに現れた。

俺と剛さんが聞いてしまったことなんて、気付いてもいないのだろう。

それが救いだった。

だけど俺は気まずすぎて、柊さんと話せない。

思い出すだけで顔が赤くなる。





それなのに柊さんは、


「おい、凪」


いつものように俺を呼ぶ。

それで、真っ赤な顔で平静を装って顔を上げた俺に……柊さんはわざとらしくそれを見せつけた。

その、しっかりとした首筋に付けられた、紅いキスマークを。