「みどり……」 柊は静かに言い、あたしの頬に手を伸ばす。 その大きな手で触れられると、頬が熱く溶けてしまいそう。 「お前のために走った。 お前のためにゴールした」 あぁ、だめ。 そんなこと言わないで。 あたしはまた、柊から離れられなくなる。 狂ったように、自分が自分でなくなる。 恥ずかしさも忘れて、柊を求めてしまう。