「またボーッとしてる。本当になにもないの? 雅子たちにまたなにか言われたんじゃない?」


「雅子たちは関係ないよ。本当に大丈夫だから」


そう言って笑って見せるとようやく安心したように貴美子も微笑んだ。


中学からずっと仲良しの貴美子だから、私のちょっとした変化でもすぐに気がついてくれる。


「それよりさ、この前読んだ本が本当に感動してね」


私は自分の中から悦司を追い出すためにも、他の話題に変えたのだった。