地味な見た目と読書が趣味という私とはあまりにもかけ離れて人種のため、学校内での接点はほとんどなかった。


そんな私に雅子から声をかけてくるのはなにかよくないことを頼みたいときくらいだ。


例えば今日の日直を変わってほしいとか、宿題を見せてほしいとか。


そのたびに嫌な気分になっているのだけれど、残念ながら断る勇気もなくて、結局は雅子のわがままを聞いてあげることになってしまっている。


このままじゃダメだと思うのだけれど、どう対処していいのかわからない。


雅子の機嫌を損ねてしまってイジメの標的にでもされたらたまらない。


「な、なに?」


私は引きつった笑みを浮かべて聞きかえす。


雅子は私が緊張していることになんて全く気がついていない様子で、馴れ馴れしく私の肩に手を置いた。


一瞬なぐられるのではないかと身構えてしまったけれど、さすがになにもしていない人間を殴ったりはしないみたいだ。


私の肩に手を置いてグッと体を近づけてきた雅子は小声で話しかけてきた。