秘密恋愛短編集

その場にしゃがみこんで必死で顔を隠す英祐は全然遠い存在なんかじゃなくて、いつもの英祐でホッとする。


私は英祐の前に同じようにしゃがみこんだ。


「今日、誰かから告白された?」


「は? そんなわけないじゃん?」


顔を上げた英祐はもう怪訝そうな顔になっている。


「みんな、あんなにキャーキャー言ってたのに?」


「それは本気で好きだからとか、そういうんじゃないだろ」


いわゆる、アイドルへ対しての好きという感情と同じものだったみたいだ。


「本当に、誰からも?」


「誰からも。っていうか、俺は1人からの告白を待ってるんだけど?」


ジッと見つめられて言われ、思わず視線をそらす。


英祐がなにを求めているのかもうわかっていた。


それに、今日が終わればまた私達は元の関係に戻る。