やってしまった……。


職員室から足を止めずに1階の空き教室へとやってきていた。


あのまま教室へ戻ればなにかあったと貴美子にバレてしまう。


そう思って闇雲に歩いて、ふと鍵の開いている空き教室の存在を思い出したのだ。


この教室は昼休憩になると誰でも使用できるように開放されるため、いつでも綺麗に清掃されている。


今日は幸いにも誰の姿もなかったので、私は教卓の椅子に深く座り込んだ。


「あ~あ、なにしてんだろ私」


両手で顔を覆って自分の情けなさにため息を吐きだす。


あんなのただの八つ当たりだ。


英祐が想像異常に人気になってしまって、嫉妬しただけだ。


それをあんな風に英祐のせいみたいに言うなんて、最低だ。


深い自己嫌悪に陥って食欲すらも失われていく。


教卓の机にべったりと右頬をつけて目を閉じた。