キーンコーンカーンコーン………

校内に響き渡るチャイム。
グラウンドからは元気な声が聞こえる。
基本、部活動に入っていない生徒は既に下校しているが、静まり返った教室からその様子を窓から見ている少女が2人残っていた。
片方の少女は、長くツヤのある黒い髪を一つに束ね少し釣り上がった目をしていた。名札には「海瀬」と書かれていた。
そしてもう片方の少女は、少し茶色がかったボブの髪型に優しそうな目していた。制服についている名札には「涼風」と書かれていた。
「ど、どどど、どうしよう…。」
恐らく相手には聞こえてないだろうという小さな声で涼風は呟く。まだ入学して間もない時。クラスに馴染めず、今と同じように吹くまだ少し肌寒い風を感じながら何もないグラウンドを眺めて居た時、海瀬さんは声をかけてくれた。