この愛に猛る/その20
麻衣




五島組からそれを知らされた相和会は、上京した間宮を張り、行動を完全にマークした

で…、法事は嘘だったわ

滞在中はほぼビジネスホテルの中で、来客と会うのみ

その来客のほとんどは、チンピラコネクションの面々と判断されてね…

一方、相和会内部の内偵の結果、二人のチンピラから証言をとり、チンピラコネクションとあからさまな接触が明らかとなった

さらに、その二人によって、西城アツシが大打グループと接触していることも裏が取れた

ついては、相和会が対処の為、広島から間宮を呼び寄せた

その名目は、撲殺男の婚約披露に際し、傘下組織で祝意を申し出、署名した団体の名簿を五島組から預かり、相和会に届けることだった

そして今週、間宮は上京して、東京北部の宿泊先に囲ってある

その間宮康には今日、組織を売った行為を尋問の上、処罰を与えた



...



「…麻衣か?」

「はい…。剣崎さん、今日はご苦労さまでした」

「うむ。割と段取りよく進行したな…。今日中には編集したテープをダビングできる。サンプル一本を、”配達先”とその順序を記したメモと一緒に、能勢が今夜そっちに届けるよ。早いところは明日の日中、ブツを聞くことになるぞ。ふふ…、連中の反応が楽しみだ」

「わかりました。早速テープは聞いておきますよ。その上で、例の先輩経由は、指示通りかかります。予定通りでいいですね?」

「ああ、頼む。当面、リアクションの知らせはリアルタイムで耳にしたい。面倒だろうが、その都度俺か能勢に入れてくれるか?」

「わかりました。では、さっそく”昨日”の反響が入ったんで、今告げますね。ああ、これは”業界”外の、私たちの界隈ってことですが…」

「おお、是非、聞かせてくれ」

「”相和会幹部と結婚する本郷麻衣が、怪しいゲームセンター、ジャッカル・ニャンのオープンに殴りこんだ。どうやらジャッカル・ワンを荒してた不良たちが、ニャンの用心棒を、よそ者のやくざから請負ってるので、それを相和会内部の人間として質したらしい”…まあこんな論調だそうです」

「ほう…、そりゃ、なかなかいい論調だな。はは…」

剣崎さんは、事の他、喜んでたよ…