この愛に猛る/その11
アキラ
ケイコちゃんの実家を出たあと、二人は彼女のバイト先でもあるファミレスに寄った
「店長、この人が私の彼で、香月明さんです…」
「いやあ、横田さんは元気だし、まじめに頑張ってくれて、いつも感心していますよ。是非、長く働いてもらいたいと思ってますんで…(笑顔)」
「ケイコがいつもお世話になっています。これからもよろしくお願いします」
店に入って、まずは奥にいた店長に俺を紹介してくれた
…
オレたちは窓際のテーブルに付き、レモンティーを頼んだ。
彼女の家では、ケーキとお母さんの手作り料理をいっぱい食べたので、二人ともさすがに飲み物だけにした(苦笑)
「アキラ…、改めてお礼を言うね。今日は、一緒に家に行ってもらって、母ともちゃんと話してくれて、ありがとうございました」
なんか、彼女、改まっちゃてるよ…
「いや、オレの方こそ、こんなに早く会ってくれて嬉しいんだ。なにしろ、美咲ちゃんには感謝しないとね」
「うん、そうだね…。なんか、気が抜けちゃったかな(苦笑)」
当然、オレもホッとしたけど、ケイコちゃんだって、ひと安心って胸を撫で下ろすよな
「でも、素敵なお母さんだね。正直、あんなにきちんと話を聞いてくれるとは思わなかった…。いきなり二人でって言われたんで、もっと気まずい雰囲気になるんじゃないかってね。すごい、緊張しちゃってた。はは…」
「アキラには、きついこと言っただろうけど…。お母さん、はっきり言う人だから。ゴメンね」
「ううん、全然だったよ。きっちりとは言われたけど、親からすれば、それは当然のことだし」
「だけど、アキラのことよく思ってないのは”誤解”なんだし…。そもそも、私がクスリなんか安易に受け入れちゃったから…。アキラは無理やりクスリ打たれて、無実なのに。被害者なのに…。私のせいなんだよ、結局は…。だから…」
まずいわ、また自分を責めるループに戻しちゃ…
...
「ケイコちゃん!それはもうオレ達、乗り越えたはずだろ。はは、誕生日にしょぼんとしちゃダメだって。さあ、いいね。キミは陽射しちゃんなんだからさ」
彼女は目が潤み始めてけど、必死にこらえていたよ
オレの目をじっと見ながら、唇をギュッと噛んで…
そして…
「そうだったね。うん、もう言わない、大丈夫…」
ふう…、何とか陽射しちゃんの雨雲を消し去ったぞ
さあ、話のモードを切り替えよう
「それにしても、娘とはいつ出会ったんだって聞かれた時は、焦ったよ。一瞬、固まってちゃった。どうしようかってさ、ハハハ…」
「でも凄いじゃん、咄嗟にあんな答えで返せるなんて(笑)」
ケイコちゃんには、どう答えたかは伝えてあったんだけど、彼女もそれ、お母さんが尋ねてくることは予想してなかったようだよ
「だけど、アキラからそう聞いて、お母さんは少し安心したんじゃないかな。アキラに巻き込まれたってニュアンスもさ…、影響された度合とか…。第一、実際に会えば、アキラが悪い人間じゃないってわかるよ。ああ、やっぱり美咲が言った通り、いい人そうねってさ(笑)」
「いやあ、美咲ちゃん、よほどいいイメージでお母さんに話してたんだろうな。それ、大きいや」
「ハハハ…、お母さん、ホントにバンドやってる人なのって、そうは見えないわねって言ってたよ。でさ、”その前”は、高校出て普通の会社員だったんだよってね。そしたら、まあ、そうなのって、きょとんとしてるんだもん。一体、どんな人を想像してたのよって言いたくなった(苦笑)。だから、アキラの印象は間違いなくアップしたよ。ああ、それだけでも、今日はよかった…」
この時のケイコちゃんは、何とも感慨深い顔つきをしてた…
この子の心を推し量ると、こっちも心がきゅっとなったよ
...
「わー、アキラからもプレゼントもらっちゃった!」
色々迷ったが、結局、ブーツを選んだ
パジャマとかトレーニングウェアなんかも考えたけど、ちょっと正確なサイズとかが不安だったから、この類は一緒に選んだ方がいいと思ってね
「…でも、こんな大人ぽいの、私なんかじゃどうかな…」
「じゃあ、履いてみて」
実際履いた後の彼女、白のブラウスと黒のスカート姿ということもあったが、すごく似合っていた
「どう?」
「…なんと魅力的な大人の女性なんだ…。うーん、似合う!」
彼女は足元の黒いブーツとオレの顔を目で往復させ、赤い顔して笑ってた
...
その夜、タクヤに電話した
バンドへの口利きは、心がけておくという対応に留めた
「…そう。麻衣が…」
ケイコちゃん、何とも複雑そうな顔してなあ…
しかし…、麻衣のやるとこはますますぶっ飛んでるよ…
もうマックスだろ
アキラ
ケイコちゃんの実家を出たあと、二人は彼女のバイト先でもあるファミレスに寄った
「店長、この人が私の彼で、香月明さんです…」
「いやあ、横田さんは元気だし、まじめに頑張ってくれて、いつも感心していますよ。是非、長く働いてもらいたいと思ってますんで…(笑顔)」
「ケイコがいつもお世話になっています。これからもよろしくお願いします」
店に入って、まずは奥にいた店長に俺を紹介してくれた
…
オレたちは窓際のテーブルに付き、レモンティーを頼んだ。
彼女の家では、ケーキとお母さんの手作り料理をいっぱい食べたので、二人ともさすがに飲み物だけにした(苦笑)
「アキラ…、改めてお礼を言うね。今日は、一緒に家に行ってもらって、母ともちゃんと話してくれて、ありがとうございました」
なんか、彼女、改まっちゃてるよ…
「いや、オレの方こそ、こんなに早く会ってくれて嬉しいんだ。なにしろ、美咲ちゃんには感謝しないとね」
「うん、そうだね…。なんか、気が抜けちゃったかな(苦笑)」
当然、オレもホッとしたけど、ケイコちゃんだって、ひと安心って胸を撫で下ろすよな
「でも、素敵なお母さんだね。正直、あんなにきちんと話を聞いてくれるとは思わなかった…。いきなり二人でって言われたんで、もっと気まずい雰囲気になるんじゃないかってね。すごい、緊張しちゃってた。はは…」
「アキラには、きついこと言っただろうけど…。お母さん、はっきり言う人だから。ゴメンね」
「ううん、全然だったよ。きっちりとは言われたけど、親からすれば、それは当然のことだし」
「だけど、アキラのことよく思ってないのは”誤解”なんだし…。そもそも、私がクスリなんか安易に受け入れちゃったから…。アキラは無理やりクスリ打たれて、無実なのに。被害者なのに…。私のせいなんだよ、結局は…。だから…」
まずいわ、また自分を責めるループに戻しちゃ…
...
「ケイコちゃん!それはもうオレ達、乗り越えたはずだろ。はは、誕生日にしょぼんとしちゃダメだって。さあ、いいね。キミは陽射しちゃんなんだからさ」
彼女は目が潤み始めてけど、必死にこらえていたよ
オレの目をじっと見ながら、唇をギュッと噛んで…
そして…
「そうだったね。うん、もう言わない、大丈夫…」
ふう…、何とか陽射しちゃんの雨雲を消し去ったぞ
さあ、話のモードを切り替えよう
「それにしても、娘とはいつ出会ったんだって聞かれた時は、焦ったよ。一瞬、固まってちゃった。どうしようかってさ、ハハハ…」
「でも凄いじゃん、咄嗟にあんな答えで返せるなんて(笑)」
ケイコちゃんには、どう答えたかは伝えてあったんだけど、彼女もそれ、お母さんが尋ねてくることは予想してなかったようだよ
「だけど、アキラからそう聞いて、お母さんは少し安心したんじゃないかな。アキラに巻き込まれたってニュアンスもさ…、影響された度合とか…。第一、実際に会えば、アキラが悪い人間じゃないってわかるよ。ああ、やっぱり美咲が言った通り、いい人そうねってさ(笑)」
「いやあ、美咲ちゃん、よほどいいイメージでお母さんに話してたんだろうな。それ、大きいや」
「ハハハ…、お母さん、ホントにバンドやってる人なのって、そうは見えないわねって言ってたよ。でさ、”その前”は、高校出て普通の会社員だったんだよってね。そしたら、まあ、そうなのって、きょとんとしてるんだもん。一体、どんな人を想像してたのよって言いたくなった(苦笑)。だから、アキラの印象は間違いなくアップしたよ。ああ、それだけでも、今日はよかった…」
この時のケイコちゃんは、何とも感慨深い顔つきをしてた…
この子の心を推し量ると、こっちも心がきゅっとなったよ
...
「わー、アキラからもプレゼントもらっちゃった!」
色々迷ったが、結局、ブーツを選んだ
パジャマとかトレーニングウェアなんかも考えたけど、ちょっと正確なサイズとかが不安だったから、この類は一緒に選んだ方がいいと思ってね
「…でも、こんな大人ぽいの、私なんかじゃどうかな…」
「じゃあ、履いてみて」
実際履いた後の彼女、白のブラウスと黒のスカート姿ということもあったが、すごく似合っていた
「どう?」
「…なんと魅力的な大人の女性なんだ…。うーん、似合う!」
彼女は足元の黒いブーツとオレの顔を目で往復させ、赤い顔して笑ってた
...
その夜、タクヤに電話した
バンドへの口利きは、心がけておくという対応に留めた
「…そう。麻衣が…」
ケイコちゃん、何とも複雑そうな顔してなあ…
しかし…、麻衣のやるとこはますますぶっ飛んでるよ…
もうマックスだろ