12月7日。

ナナミの誕生日、当日になった。

実はまだナナミには何の連絡もしていない。

サプライズをしようと思っているからだ。

驚いてくれるかな?

一日中そわそわして、授業どころではなかったが、何とか先生達の退屈な話を乗り越えた。

というか、今日は土曜日だ。

本来なら休みのはずだが、授業時間の調整とかそんな理由で、なぜか休みではなく登校日だった。

放課後になり、俺はナナミがいるクラスへ向かった。

クラスはA組からJ組まであって、たしかナナミはA組だった。

声をかけようとA組の教室に入った。

しかし、教室中を探してもいなかった。

あれ、どこに行った?

トイレか?

ナナミとよく一緒にいる子がいたので、俺は声をかけた。

親しくはないが、顔見知りだった。

『なぁなぁ。ナナミって今どこにいるんだ?』

その子から予想外の答えが返ってきた。

『ナナミちん?今日休みだよ。』

『えっ?なんで?』

『風邪ひいたんだって。ナナミちん。誕生日だったのに。ついてないよね。ウチ、プレゼント持って来たのに。超残念。』

『…そうか。ありがとう。』

俺はA組の教室を出て、廊下の角で立ち止まった。

少なくとも昨日の昼休みまでは、体調は悪くなさそうだった。

だから、今日は普通に会える思っていた。

昨日の誕生日会ではしゃぎ過ぎたのか?

イクヤ…?

…理由はない。

何となく胸騒ぎがした。

俺は校舎を抜け、走ってナナミの家に向かった。