近所のスーパーに夕飯の買い出しへ向かう途中、幼なじみのカナメくんが自宅から出てくる所を見かけた。

正直なことを言うと、偶然会えないかなと思って彼の家の前を通る道を選んだ。

『カナメくん、こんにちは!今からお出かけ?』

『そうだぞ。イクヤはどっか行くのか?』

『うん。僕は夕飯の買い出しに!』

両親がそれぞれ仕事の関係で、家を空けていることが多い。

だから、昔から自分でご飯を作っている。

自分の分だけではなく、家族の分まで作っているから大変だ。

だけど、ずっと作っているうちに料理が趣味になった。

美味しいって言ってもらえると嬉しいし、レパートリーが増えることも楽しい。

『また美味しいもん作ったら食べさせてよ。じゃあな。気をつけて。』

『うん。またね!』

そう言って僕はカナメくんの家から離れた。

僕は作り過ぎたという理由で、カナメくんの家にご飯やお菓子を頻繁に持って行っている。

彼の喜んでくれる顔が見たくて続けている。

カナメくんと別れた後、ふと振り返った。

すると、彼の家の前にあの女の子がやってきた。

『ごめ~ん。お待たせ~。』

『そんなに待ってないよ。イクヤに会ったからな。』

2人の声を聞いた僕は、走ってスーパーに向かった。