ナナミちゃんの誕生日まで残り3日に迫った12月4日。
その放課後。
カナメくんから呼び出された。
お願いしたいことがあるとのこと。
それにしても、体調は大丈夫なのかな?
12月ということで、ナナミちゃんの誕生日について話したいのかもしれない。
でも、カナメくんはプレゼントを渡せる…?
待ち合わせ場所に指定されたファーストフード店の入り口付近で待っていると、大好きな声が近づいてきた。
『よう、久しぶり。』
『カナメくん…!久しぶりだね!元気だった?調子は大丈夫?』
『大丈夫。心配かけてごめんな。』
よかった…。
元気そうだ。
僕は嬉しい気持ちを抑えて、店内に入った。
それぞれ注文を済ませた。
商品を受け取り、僕達は窓際にある2人がけの席に座った。
『本当に久しぶりだね!全然会ってなかったから、一緒に遊べて嬉しいよ!』
『そんな言うほど久しぶりか?』
『久しぶりだよ!』
少なくとも、こうやって2人きりで遊ぶのは、僕の誕生日以来だ。
『僕達の学校は今テスト週間なんだけど、カナメくんの学校は?』
『テストは昨日終わったなぁ。』
『そうなの?そっちの学校は早いね!』
たわいもない雑談が続く。
カナメくんとなら、いつまでも話していたいと思う。
『…イクヤ。今日は言いたい事が、お願いがあるんだ。』
カナメくんが真剣な表情で言った。
ついにこの瞬間がきた。
緊張する。
出来る限り平静を装って、僕は言った。
『…お願い?何かな?』
『俺は…ナナミに告白することにした。』
『え…?えーと…。どういうこと?』
『ごめん。最後まで聞いて欲しい。』
『ん?うん…。』
『…俺はずっと。ずっとナナミのことが好きだったんだ。昔から。今も好きだ。』
『…。』
『今まで友達面してたから、気づかなかったかもしれないけど。』
『…うん。』
僕は静かに頷いた。
そんなことは昔から知っている。
言わないけどね。
頷いた僕を見て、カナメくんは話を続けた。
『俺…思ったんだ。自分の強い気持ちを殺して生きていくのは嫌だって。このまま後悔して苦しんでイクヤともナナミとも話せなくなるのは…。嫌だなって。』
『…うん。』
『だから…。告白して自分の気持ちにケリをつけたい。そりゃ、告白が成功したなら俺は幸せだ。確率は明らかに低いけど…。』
『…。』
『でも。もし万が一、奇跡が起きて上手くいったとしたら…!その時はイクヤの幸せを奪ってしまう。それでも俺は…。』
『…うん。』
僕は頷くだけだ。
カナメくんが望むから。
『止まれない。イクヤ。本当にごめん。ナナミはイクヤの彼女だ。それは分かってる。』
『…。』
『それでも。どうか告白をさせてほしい。その為に…。ナナミの誕生日は俺に譲ってくれないか?1時間だけでもいい。本当にごめん。お願いだ…。』
『なるほどね…。そう…なんだ。』
カナメくんは僕に頭を下げた。
そっか…。
好きな人の好きな人を直接聞かされるって。
こんな感じなんだね。
痛いね。
苦しいね。
だけどカナメくんは…。
ナナミちゃんを応援したんだね…。
本当に優しいね。
僕はそんな風には思えない。
応援なんて、できるはずがない。
『…分かったよ。そういうことなら仕方ないね。大丈夫だよ。告白して。』
僕は震えそうな声を抑えて、できる限りいつも通りのトーンで答えた。
すると、カナメくんは驚いた表情を見せた。
『え…?…いいのか?』
『うん。このままだとカナメくん。苦しいままでしょ?それならすっきりした方がいいよ。』
『イクヤ…。』
『苦しむカナメくんなんて、見たくないから。って言っても、負けるつもりはないけどね!』
『ありがとう。本当に…。ありがとう!』
『全然いいよ!』
その放課後。
カナメくんから呼び出された。
お願いしたいことがあるとのこと。
それにしても、体調は大丈夫なのかな?
12月ということで、ナナミちゃんの誕生日について話したいのかもしれない。
でも、カナメくんはプレゼントを渡せる…?
待ち合わせ場所に指定されたファーストフード店の入り口付近で待っていると、大好きな声が近づいてきた。
『よう、久しぶり。』
『カナメくん…!久しぶりだね!元気だった?調子は大丈夫?』
『大丈夫。心配かけてごめんな。』
よかった…。
元気そうだ。
僕は嬉しい気持ちを抑えて、店内に入った。
それぞれ注文を済ませた。
商品を受け取り、僕達は窓際にある2人がけの席に座った。
『本当に久しぶりだね!全然会ってなかったから、一緒に遊べて嬉しいよ!』
『そんな言うほど久しぶりか?』
『久しぶりだよ!』
少なくとも、こうやって2人きりで遊ぶのは、僕の誕生日以来だ。
『僕達の学校は今テスト週間なんだけど、カナメくんの学校は?』
『テストは昨日終わったなぁ。』
『そうなの?そっちの学校は早いね!』
たわいもない雑談が続く。
カナメくんとなら、いつまでも話していたいと思う。
『…イクヤ。今日は言いたい事が、お願いがあるんだ。』
カナメくんが真剣な表情で言った。
ついにこの瞬間がきた。
緊張する。
出来る限り平静を装って、僕は言った。
『…お願い?何かな?』
『俺は…ナナミに告白することにした。』
『え…?えーと…。どういうこと?』
『ごめん。最後まで聞いて欲しい。』
『ん?うん…。』
『…俺はずっと。ずっとナナミのことが好きだったんだ。昔から。今も好きだ。』
『…。』
『今まで友達面してたから、気づかなかったかもしれないけど。』
『…うん。』
僕は静かに頷いた。
そんなことは昔から知っている。
言わないけどね。
頷いた僕を見て、カナメくんは話を続けた。
『俺…思ったんだ。自分の強い気持ちを殺して生きていくのは嫌だって。このまま後悔して苦しんでイクヤともナナミとも話せなくなるのは…。嫌だなって。』
『…うん。』
『だから…。告白して自分の気持ちにケリをつけたい。そりゃ、告白が成功したなら俺は幸せだ。確率は明らかに低いけど…。』
『…。』
『でも。もし万が一、奇跡が起きて上手くいったとしたら…!その時はイクヤの幸せを奪ってしまう。それでも俺は…。』
『…うん。』
僕は頷くだけだ。
カナメくんが望むから。
『止まれない。イクヤ。本当にごめん。ナナミはイクヤの彼女だ。それは分かってる。』
『…。』
『それでも。どうか告白をさせてほしい。その為に…。ナナミの誕生日は俺に譲ってくれないか?1時間だけでもいい。本当にごめん。お願いだ…。』
『なるほどね…。そう…なんだ。』
カナメくんは僕に頭を下げた。
そっか…。
好きな人の好きな人を直接聞かされるって。
こんな感じなんだね。
痛いね。
苦しいね。
だけどカナメくんは…。
ナナミちゃんを応援したんだね…。
本当に優しいね。
僕はそんな風には思えない。
応援なんて、できるはずがない。
『…分かったよ。そういうことなら仕方ないね。大丈夫だよ。告白して。』
僕は震えそうな声を抑えて、できる限りいつも通りのトーンで答えた。
すると、カナメくんは驚いた表情を見せた。
『え…?…いいのか?』
『うん。このままだとカナメくん。苦しいままでしょ?それならすっきりした方がいいよ。』
『イクヤ…。』
『苦しむカナメくんなんて、見たくないから。って言っても、負けるつもりはないけどね!』
『ありがとう。本当に…。ありがとう!』
『全然いいよ!』