『…。』

ナナミちゃん、お店出ちゃったなぁ。

僕はマグカップを手に取り、カフェラテを口に入れた。

4人掛けのテーブルに1人で座っていると、少しだけ目立つかもしれない。

それにしてもあの反応…。

カナメくんとの関係に関する思考をストップさせているようだ。

昔からの付き合いではあるけど、ナナミちゃんのことはあまり知らない。

恋人として付き合うようになってから、ナナミちゃんのことを詳しく知るようになった。

恐らく、いや、今日の言動ではっきりした。

ナナミちゃんは潜在的に、カナメくんに対しても恋愛感情に近いものが確実にある。

別に僕のことを好きというのも嘘ではないと思う。

現在は、僕に対する気持ちの方が強い気もする。

もしかしたら昔、異様に仲の良かったカナメくんとの関係について、周りからかわれたりしたのかもしれない。

実際にからかわれている場面を、僕も見たことがある。

その結果、頑なに否定をしているうちにカナメくんは家族のような友達という認識になったのかな?

家族と恋愛をするわけがないって。

そして、カナメくん以外の異性は恋愛対象として見るようになり、僕を選んだ…。

バカだな、ナナミちゃん。

自分でかけた呪いに苦しんでいるなんて。

でも今日の反応を見ると、ナナミちゃん自身も薄々は感じているみたい。

だから戸惑っている。

カナメくんの視線に気づいてしまいそうで!

『ふふふっ…!』 

悩むといいよナナミちゃん。

カナメくんだって苦しんできたんだから。

今頃、いっくんなんであんなこと言うの!とか言って、怒っているんだろうな。

ナナミちゃん。

考えて…考えて…。

苦しむんだ。