『おはよ〜!』

『…ナナミ。』

『久しぶりだね〜!元気〜?一緒に学校行こうよ~。』

『…おう。』

驚いた。

家の前にナナミがいるなんて。

なんでいるんだよ?

俺のことなんか、放っておけよ…。

『いつもこの時間に出てるの~?はやくない〜?』

『日によるけどな…。』

『そうなんだ~。早起きして学校に行って何してるの~?掃除とか~?』

『…勉強してる。来年は受験だし、今のうちから準備してんの。』

『え〜。えらいね~!やっぱめーちゃんはマジメだな〜。あんまりマジメ過ぎちゃうと、脳みそ固まっちゃうよ~!』

『…そうだな。』

『えーと…。そうだ!めーちゃん。たまには息抜きしようよ~!何か美味しいもの食べに行こうよ~。』

『…ナナミ。』

ナナミの明るい声が、暗くて冷たい俺の心に突き刺さる。

もうやめてくれ。

もうやめてくれ…!

口が勝手に動き出した。

『俺、今は色々と忙しいんだ。ごめんな。行けない。後、今日来てくれたのは嬉しいけど、朝は特に冷え込むし、風邪をひくかもしれない。だからもう…。来なくていいよ。』

『…めーちゃんどうしちゃったの!?なんかおかしいよ!体調悪い?何かあった!?』

『健康だし、何もないよ。…急にどうした。大きな声出して。落ちつけよ。』

『落ちつけないよ!めーちゃんおかしいもん!変わっちゃった!わたしの知ってるめーちゃんじゃない!』

『俺だって人間だ。変わることくらいある。それに…。』

もう…。

ダメだ。

これ以上は。

『…先に変わったのはお前らの方だ。』

『えっ…?』

『お、学校着いたぞ。じゃあな。』

校門が見えてきた。

そう言って俺は、早足で歩き出した。