夜が明けて、朝を迎えた。

目覚めは悪くない。

昨日の晩にナナミから、イクヤと付き合う事になったと報告を受けた。

ショックで眠れないと思っていたが、普通に寝ることができた。

恐らく、ナナミの告白が失敗するはずがないという自信から、漠然とした覚悟はできていたからだと思う。

それでも思っていたよりは大丈夫というだけで、決して元気なわけではない。

複雑の思いを抱えたまま、俺は家を出た。

学校へ向かう途中、最も会いたくない親友に会った。

俺の方から先に挨拶をした。

『おはよう、イクヤ。』

『おはようカナメくん!そういえば、聞いた?ナナミちゃんから僕達のこと…。』

『聞いた。すげーよな。まさかまさか。ついにイクヤに彼女か。悔しいな。俺もはやく彼女作りたいな!』

俺は今、どんな顔をしているのだろうか。

第三者から見て俺は、『友達に彼女ができたことを冷やかす奴』に見えているのか?

ちゃんと笑えているといいけど。

『僕自身が一番びっくりしたよ。カナメくんかっこいいから、彼女なんか余裕でしょ!』

『全然だ!まあ。ナナミとうまくやれよ!じゃあな!』

『うん!またねー!』

俺達は別れて、各々の学校へ向かった。

イクヤも嬉しそうだった。

よかったな…。