『そうか。よかったな。お幸せに。』

夜になって、アルバイトから帰宅すると、ナナミから電話がかかってきた。

告白は成功して、イクヤと付き合う事になったようだ。

『ほんと。めーちゃんのおかげだよ~!ありがと~!』

電話口から聞こえるナナミの声は、これまでで最も明るい。

『全然いいよ。わがまま言い過ぎてイクヤを困らせるなよ?』

『そんなことしないよ~。』

そうか。

告白…上手くいったんだな。

よかったな、ナナミ。

だけど3人では…。

俺とはもう一緒にいられないな…。

『よかったな。ナナミも彼氏持ちか!それじゃもう、俺と2人では遊べないな…。』

『え、どうして~?』

『だってそうじゃないか?彼氏持ちが他の男と遊んでたら印象悪くないか?』

『…めーちゃんは特別だよ!いっくんだっていいよって言ってくれると思うし…!』

『口ではいいよって言っていても、内心はおもしろくないかもしれない。それに、俺以外のナナミの友達もなんて言うか分からない。女子の方がそういうの厳しいだろ?』

『めーちゃん…。でも…。』

ナナミの声は悲しそうで寂しそうだ。

それでも俺の決心は揺るがない。

『別に一生会わないわけじゃない。たまーに。3人で遊べばいい。』

『そうだね…。わかった。だけど、めーちゃんはずっーと大切な友達だからね~!』

『わかってるよ。』

電話を切った。

スマートフォンをベットの上に放り投げた。

やっぱりキツいな…。

俺、イクヤになりたいな…。

お菓子でも作ろうか?

……。

ナナミが幸せならそれでいい。

それでいい。