電車に乗車してから20分程で、○○駅前のショッピングモールに到着した。

近場だと、一番栄えているショッピングモールだ。

休日なのも相まって、建物全体が賑わっている。

人混みには行きたくなかったが、ナナミに呼ばれたら行くしかない。

『今日は何を買うんだ?』

ショッピングモールを歩き回りながら、俺は尋ねた。

ナナミは無計画なことが多いので、要注意だ。

『ん~とね~。プレゼント。いっくんの誕生日もうすぐでしょ?めーちゃんも何かあげるよね~?』

『まぁな。毎年あげてるし。』

『そうだよね~!だからステキなプレゼントを渡したいの~!めーちゃんには男の子が喜びそうな物をアドバイスしてもらいたい!』

ナナミは少し照れながら言った。

そうか。

ずっと前からナナミが誰を好きなのかは分かってはいるけど…。

残念なのはイクヤがいい奴ってことだ。

頻繁に連絡はくれるし、料理も作ってくれるし、毎年豪華な誕生日プレゼントもくれる。

俺に対してとにかく優しい。

幼なじみってだけで、ここまでしてくれる人はいないと思う。

性格がクズであれば嫌いにもなれるが、これでは嫌うことができない。

それでも…。

好きな奴には幸せでいて欲しいと思う。

なので、イクヤのプレゼント選びに関しては気持ちを込めて手伝いたい。