商品を受け取ったナナミが戻って来た。

ナナミはまずジュースを飲み、ポテトを食べ始めた。

内容を分かっていても、俺からは何も言えない。

ただ待つだけだ。

ポテトをかじりながら黙っていると、ナナミは少しずつ口を開き始めた。

『まずは…。この前はごめんね。嘘ついて。』

『そんな事は全然。俺だって嘘くらいつくし!』

特にナナミの事に関しては嘘ばかりだ。

『ありがとう…。それでね…。嘘だった部分なんだけど…。実は友達の話じゃなくて…。めーちゃんの言う通り、わたしのことなの…!』

『へ。へえ。そ。そおなのか。』

『そう…。だから…告白をしたいのはわたしなんだ…。』

『そおかあ。ちなみにぃ…だれに?』

結構キツいな。

演技をすることも。

ナナミの口から誰が好きかを聞くことも…。

もう帰りたいが、俺はナナミのサポートを頑張ると決めた。

ナナミは顔を真っ赤にして、言葉に詰まりながらも答えた。

『それで…その…。もう気づいてるかもしれないんだけど…。その…。こ…告白をしたい相手は…いっ…いっくんなんだ!』

『ええ!ま。まじかよー!』

『あ~。ついに言っちゃったぁ~。恥ずかしいな〜。だからその…。なんて告白したらいいかな~?昔からの友達だし、今更とか思われないかなぁ?』

俺は机ごとひっくり返りそうな程の勢いで驚いた。(フリをした。)

ナナミは少しうつむいて、もじもじしている。

あの恥ずかしがり屋なナナミが勇気を出した。

その勇気に応えなくては。

『うーん。普通に好きって言えばいいんじゃないか?昔からの付き合いだからこそ、ナナミの良い所はイクヤも知ってるだろうし。奇をてらった告白をするよりも、シンプルに言えばいい。』

『それだけで大丈夫かなぁ~?』

『大丈夫だって!今、イクヤ。彼女いないって言ってたし。もし、ダメだったとしても何回でも好きだって言えばいい!意識して貰えるまで何回でも。』

俺は力強く言った。

正確には強がっているだけだとしても。

『めーちゃん…。』

『それに…。』

一呼吸置いてから、俺は言った。

『俺達、何年一緒にいると思ってるんだよ?ナナミの良い所は全部知ってる俺が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫なんだよ。』

この言葉は本心だった。

すると、少し目を潤ませたナナミが言った。

『ありがとう…!わたし、大丈夫な気がしてきた!頑張るね!めーちゃんが友達で本当に良かったよ~!わたしは幸せ者だね~!』

そう言って貰えて俺は報われた気がする。

良いアドバイスができたなら良かった。