ナナミに返信が出来ないまま、朝を迎えた。

俺は一睡もできなかった。

この後、学校でナナミに会いたくはない。

同じ高校に通っていても、クラスは違うので顔を合わせない日も多々ある。

しかし、家は近所なので学校に着く前に会ってしまうかもしれない。

わざと遅刻しよう。

その間にナナミへの返信は何とかしよう。

一晩中、俺は今後について考えていた。

ついにナナミがイクヤに告白することを決心した。

俺の脳内では、様々な選択肢がぶつかり合っていた。

俺もナナミに告白する。

ナナミの告白を阻止する。

ナナミを応援する。

うーん…。

俺が告白してナナミが幸せになるなら、迷わず告白をする。

しかし、ナナミがずっとイクヤを好きなことは知っている。

特にイクヤと別々の高校に通うようになってからは、気持ちが強くなった気がする。

今、告白をしても困惑するだけではないか。

いや、それはナナミを理由に逃げているだけではないかとも思う。

そうやって言い訳をして、勇気が出せない自分もいる。

答えは出ない。

そもそもイクヤに彼女はいるのか?

時々、街中で女子と一緒にいるイクヤを見かけたことはある。

イクヤと同じ学校の人だとは思うけど、付き合っているかは分からない。

頻繁に会ってはいるが、恋愛についての話をした事がない。

まずはイクヤに彼女がいるか聞いてみよう。

もし。

想像したくはないけど、イクヤとナナミが付き合うことになったら。

俺って完全に邪魔だよな…。

3人ではもういられなくなるな…。

誰かの幸せは誰かの不幸せ、ってことか。