『め〜ちゃ〜ん。買いものついてきて~。』

『突然だな。おい。』

今は日曜日の午後13時半過ぎ。

昼食を済ませ、自室でうとうとしていた所に突然、スマートフォンから着信音が流れ始めた。

慌てて電話に出ると、電話口からは甘ったるい声がした。

『だって~。今日は学校はおやすみ。ってことは、めーちゃん。暇でしょ〜?』

『なんでだよ!お願いをする側の奴の発言とは思えないな…。じゃあ、14時にウチの前に集合。』

『わ〜い!やっぱめーちゃんは優しいね!』

『はやく準備しろよ?』

俺は電話を切った。

イスから勢いよく立ち上がり、スマートフォンをベッドの上に放り投げた。

そして俺はもう一度イスに深く座り、静かにため息をついた。

はぁ…。

またナナミを甘やかしてしまった。

ナナミとは俺が4歳の頃に出会った。

2人とも今年で高校生2年生だから、もう13年の付き合いになる。

いわゆる幼なじみだ。

何年経っても俺を『め〜ちゃ〜ん』(カナメだからめーちゃんらしい。)と呼んでは、甘えてくる。

甘えると言うと可愛く聞こえるが、可愛い話ではない。

遠慮なく面倒な用事に付き合わされたり、そこまで深刻でもない悩みの相談をされる。

多分、便利屋くらいにしか思われていない。

俺はそのように扱われている事が嫌だった。

理由はシンプルで、好きだから。

ポジティブに捉えるなら、頼られていると思うこともできなくはない。

だけど、俺の望みが叶うならナナミと恋愛がしたい。

異性同士の関わりみたいなやつをやりたい。

電話をかけることすら、毎回緊張して貰いたい。

できることなら、自分の恋を進展させたいが、そうもいかないのが現実だ。