「一緒に、この子のパパとママになりましょう。みんなで、あなたが理想とする家族をつくりましょうね」

瑠衣の片目から、ぽろりと一粒の涙が零れる。

構わずに微笑みを向けると、ギュッと抱きしめられた。

「ありがとう、瑠衣」

彼は瑠衣の肩口に顔を埋め、ひと言呟いたまま動かない。

ほんの僅かに大和の肩が震えているのに気付き、瑠衣は包み込むように彼の背中に腕を回し、指先で彼の頭を撫でた。

短く整えられた黒髪を梳くように繰り返し何度も撫でては、互いの感動を分かち合う。

この瞬間、自分たちは夫婦であり、家族であり、新たに愛しい命の親となる。

(大和さんと結婚して、本当によかった)

彼を抱きしめたまま目を伏せる。

幸福感に満ち足りた空間に、このまま抱き合って溶けてしまうのではと思うほど陶酔した。

ふっと抱きしめる腕の力が緩み、顔を上げようとすると、大きな手に目元を覆われた。