呼び出し係の声が高らかに響き。
俺達3人は慌てて会場内へと戻った。


この国の国王陛下よりも、今宵のメインの俺よりも。
ファーストダンスが終わる頃を見計らって。
勿体付けて、敢えて遅れての入場で、居並ぶ貴族達の注目を浴びる、隣国リヨンの悪名高き王女。
レイが読み上げたメモ通り、堂々10人を従えてフォンティーヌ・ラ・ベルヌ・リヨンが現れた。


2年ぶりに会う王女の本当に怖いところは、その目を引く体型以上に、一種独特な魅力があるところだ。
身体は大きいのに、不思議と顔面の造りは良くて、緑色の瞳の目力が凄い。
歪なカリスマ性を持ち、この女を恐れながら、それでも認められたくて付き従う人間が多いことも知られていた。
それ故に、幾多のきな臭い伝説のような噂がつきまとう。