午後の授業の予鈴が鳴り3人それぞれの教室に
戻る時、別れ際にクラリスにアグネスの事を尋
ねた。

あの日、怪我をした祖母のタウンハウスまで泊まりでお見舞いに行ったアグネスは、夜会出席の為に自宅に戻った侯爵夫人に同行せず、祖母の元にずっと居るのだと聞いていたから、帰宅は一体
いつになるのかと尋ねたのだ。


「夜会が終わるまで、と母に言ったそうです」

昨日、長引く次女のお泊まりに業を煮やして迎えに行った母親に彼女はそう告げたらしい。

翌日に帰る予定と言われて、アグネスの部屋に置いて貰っていた持参したマシュマロは、王城の
パティシエ渾身の生マシュマロで、賞味期限は
2日だった。
それを伝えるのを忘れていたので、祖母のところに居たアグネスの元には届くことはなく、破棄された。