この胸が痛むのは

ミハンがそう話しても、アーグネシュがもろ手を挙げて賛成することはなかった。


「無理矢理聞き出したり、嫌がったりしたら、
直ぐに止めてもいいんですね?」

「聞き出すのは僕じゃない、君だから。
 何をどう進めるのか、全て任せるよ」

自分は場を提供するだけで手出しはしないと、
右手を胸に当て誓うミハンを穿ったように見る妻の肩を、イェニィ伯爵は優しく抱き寄せた。


「貴族のご令嬢も、平民のお嬢さん達も一緒だ。
 誰かに話すことだけで助かると言われたんだろう?
 侯爵令嬢を助けてあげないとね?」


夫の言葉に不承不承頷くアーグネシュを、ミハンは見ていた。
自分は依頼するだけ、優しく説得するのは夫の役目……
わかっているから、ルカスの在宅日に訪ねたのだ。

以前なら自虐的にそう思っていたが、現在の
ミハンは仲のよい親友夫妻の側に居ても、心は
凪いでいた。


 ◇◇◇


『謝って許して貰わないと、前へ進めない』と、語ったアシュフォードに、
『許されようと、思うな。それを抱えて生きて
いけ』と、話したミハンだった。