果たして、あれで良かったのかと、アーグネシュはまた言った。
怪しい催眠術もどきをアグネスにかけ、話を聞き出した事を彼女はまだ憂いていた。

アシュフォード王弟殿下の帰りをストロノーヴァの邸でふたりで待っていた。
殿下はアグネスを送ってから、またこちらに戻ってくると仰っていた。
殿下が戻ってくる前に、アーグネシュに聞いて
おきたい事もあった。


「アグネス嬢、君からはどう見えた?」

「そうですわね……例えば、一度失敗すると、
もう二度と手は出さないと後悔するタイプと、
次こそは上手くやろうと違う方法を考えるタイプの2種類に分けるとすれば、アグネス嬢は後者だと思います」

「意外だね?」

「……ストロノーヴァ様もわかっていらっしゃるでしょうに」


さすがに現場で多くのあの年頃の子供達を見て
きただけの事はあるなと、ミハンは思った。


ミハンから見たアグネス・スローンは、素直で
頑固。
繊細そうに見えて大胆。
口には出さないのに、自分の希望を通してきた。

アグネスは常に『二律背反の感情』で揺れ動いている。 
まるでもうひとりのアグネスが彼女の中に存在しているかの様に。
それを先程の催眠術にかけられた状態のアグネスから感じた。