風紀の乱れは国の乱れだと。
自分達の世代では、王城からその様な場所は無くしていくと、国王陛下は考えていたので、その
提案は通りやすかった。


会場全体の設営責任者に、蝋燭と焚き火に火を
着ける時刻を確認していると、カランが来た。
夜会の前に軽食を食べようと、誘いに来たと言う。



「王弟殿下のご体調はいかが?」

レイノルドはわざと軽く尋ねた。
アシュフォードが帰城して、国王陛下に報告後 そのまま部屋に籠っている事をカランから聞いていて心配していた。


「昼前に起きられていたのですが……」

起きているのは察せられたのに、呼鈴は鳴らされず、その連絡がカランにも来て、彼が寝室の扉をノックしたらしい。
リヨン往復の心身の疲労がピークに達したのか。
それとも……


3年間のリヨンへの派遣を労って、珍しく国王陛下は戻ってきた一行に長い休暇を与えた。
レイノルドもカランも、そしてアシュフォードにも。
それは例外なく与えられて、アシュフォードは
アグネスが暮らすトルラキアへ向かった。
同行しようと言ったレイノルドを断って。