失恋の痛みはいつもと同じはずなのに。
クラリスへの失恋からレイノルドはなかなか
抜け出せなかった。
いつもとはどう違うのか。  


彼女とは付き合ってもいなかった。
ふたりの間には肉体関係も、口付けも、手を
握る事さえも始まってはいなかった。
何よりふたりきりで会った事もない。
いつも、もうひとり誰かが居た。

それはアシュフォードだったり、彼女の父親の
スローン侯爵だったりした。
文字通り何も始まってはいなかった。


それなのに失恋して。
クジラ王女の一件が片付いて、これから本腰を
入れて口説くのだと張り切っていた。

季節は夏だ!恋の季節だ!
レイノルドの気持ちは最高潮!
だが、直ぐに急降下した。
学年末テストが終わり、一息ついて。
さてこれから、どう攻めようか。