この胸が痛むのは

俺が幸せにしたかった。
君に幸せにしてほしかった。
さようなら、エリザ。
さようなら、マルーク。


 ◇◇◇


自分は姉の代わりなのだと、彼女は言った。
だが、それでも彼女は彼を愛している。

アグネスはアシュフォード王弟殿下を愛している。
ノイエはまだ見ぬ王弟殿下に反発しか感じなかった。
同じ男として何やっているんだと。


アグネスに婚約だの何だの申込んでいるのに、
3年間も会いに来ない。
自分とは違い、もう仕事をしている大人だ。
自由な時間は取れないのかもしれないが。

それでも。
手紙だけじゃ、贈り物だけじゃ駄目なんだ。
だから、彼女は泣いている。
自分は呪ったと、姉の代わりだと。


アグネスからはお優しい御方だと聞いていた。
目の前で泣かれたから許した、と。
女の前で泣く軟弱な男、そう思い込んで。