しばらく俺達は3人とも無言で。 
一番最初に口を開いたのは、
レイノルド・マーシャル。


「あんたなんか、いらない、かな?」

そうか、レイにはそう読めたか。
俺にはこう読めたぞ。

『誰が、あんたなんか』


俺達はふたりとも、読唇術なぞ身に付いていないし、どっちが正解かわからないが、共通した
『あんたなんか』は、確実に言ってたな。
俺は一応、王子なのに。


その言葉を声には出さなかったクラリスが咳払いをした。


「私……卒業後、しばらくしたら国を出ようと思っていますの。
 両親は許してくれないでしょうから、家出を選ぶことになります。
 その時に、お力添えをお願いしたいのです」