「かつての君は教え甲斐のある生徒だった。
 知識欲が旺盛で、ちゃんと聞いてくれるから
話すのが楽しかった。
 一度だけでも話をすると、それをよく覚えて
くれていたね?
 死人還りの話なんて、そんなにしてはいなかったのに、よく覚えていたものだと、感心する」
 

葬儀に来てくれたリーエとアーグネシュ様がお話をしていたのは知っていました。
そこから私が死人還りを調べていたと、先生に
伝わったのでしょうか?


「だが今は頑なで、人の話を聞かなくなった」

突き放すような口調と、冷たい表情。
私は先生を、失望させてしまったのかもしれません。


「君は決して反論をしないが、自分の考えは曲げない。
 ……ずっと何故なんだと、思っていた。
 今ならわかるよ、何故あんなにバージニア王女が君への苛立ちを見せたのか、わかるような気がする。
 彼女は君には面と向かって罵ったけれど、
君以外の時には一言も、自分の口からは表立っては何も言わなかった。
 それこそ、グレイシー嬢のような取り巻きに、自分の代わりに文句を言わせていた」

「……」  

「君は人に罪悪感を抱かせる。 
 攻撃的な王女は王族の自分に、罪悪感を抱かせる君を潰したかったんだ。
 現に僕も今、君に説教しながら、酷いことを
言っているようで申し訳なく思ってしまう。
 こちらが理不尽な要求をして、傷付けている気になってしまうんだよ」