やはりクラリスの言った『黙っていたのは貴女の為だった』と言うのは本当だったのです。




「オルツォ様がどちらに居られるのか、知りません」

そう答えるしかないので、先生に嘘をつかずに済んで気持ちは楽なのです。


「……そうか、君から頼まれた訳でもなく、動いていらっしゃったか。
 まあ、いいか」

面白そうに先生がそう仰って。
意味がわからなかったのですが、先生がご納得
されているご様子でしたので、私が深く聞く事
でもないと、それは聞こえない振りを致しました。


そして、そのままいきなり先生が私に仰せになったのです。


「死人還りは、やり方を間違えると、大変な事になるよ」

「……」

「僕が人の心の研究には終わりがないと、言った事を覚えているかな?
 人の心や魂、想いって言うのはね、興味だけで手を出してはいけない領域だと思う。
 それは言い換えれば、まだ解明されていない、人智を超えた未知の領域なんだよ。
 君がどう考えているのか知らないが、あれは罪のないおまじない等とは違う」
 

先生は笑っていませんでした。
それは私が初めて見る表情でした。