「そこはどうしようもないな……」

「ご提案がございます、殿下」

「何なの?」

「レイノルドから聞きましたけれど、アグネス嬢のお姉様は、結構個性的な女性みたいですわね?」

「あぁ、アレは個性的とは違うだろう?
 多分、俺を舐めていて……」

忌々しく言いかけた俺の言葉をアライアが遮る。


「それぐらい神経が太ければ、王女殿下を殿下の代わりに上手に追い払ってくれますわ」

「……」

「恋人でなくてもいいのです。
 レイが知っている範囲では、学園でもお付き合いをされている男性もいらっしゃらないようですし。
 とても仲のいい女友達、その線でクラリス嬢に協力して貰いましょう」

学園の恋愛相関図をレイは把握しているのか?


「それは夜会のパートナーにアレを選べ、と言うことか?」


アレは……あの女はない、ない!
大事な場面で、あんなパフォーマンスをされたら、目も当てられない。

『これは真実ではありません!』とか、もう要らないぞ。