王城へは早めに着くようにしていた。
この時間なら、まだ王城への道はそれ程混んでいないからだ。
開始時間まで待たせるアグネスに申し訳なかったが、俺はどうしても迎えに行きたくて。

王族控え室とは別の控えの間に、彼女を案内した。
入場時間まで、この部屋でレイに彼女を接待して貰うことにしている。

ふたりでお茶を飲みながら、俺が帰国して以降のトルラキアの話を聞く。
アンナリーエ夫人とは、あれからも特に拘りなく付き合っていて、イェニィ伯爵夫人からもよく邸に誘われていると言う。

さりげなく、オルツォ侯爵令息との話も聞きたいが。
また、今度にしようか。
今夜はアグネスが笑っているし、他の男の話は
止めておこう。


扉がノックされ、護衛が誰何して、レイが顔を
覗かせる。
アグネスに一旦離れるからと断りを入れて、レイと入れ替わりに部屋を出た。

廊下にはカランが居て、ふたりで王族控えの間に行く。