こんなことを言い出せば、アライアは心配し、 王妃陛下は侯爵に釘を刺す。
レイからは大笑いされ、バージニアはアグネスを目の敵にするだろう。


落ち着いて、考えを巡らせる。
色々考えている時は周りに悟られないように、
微笑みを浮かべろ、と昔から教えられている。
俺の思案にアグネスは気付いていない。


デビュタント前で夜会に参加出来ないアグネスを事前に招こうか。
付き添いで同行して貰う母親の侯爵夫人には、そこで話を通す。 
父親より彼女の方が手強そうで、味方にしておきたい。
アライアの掩護射撃は絶対に必要なので、帰ったら早速アグネスの話をしよう。
今すぐの話ではないが……パートナーなど用意しなくてもいいなら、そうしたい……

そう段取りを考えながらも、一抹の不安がよぎる。
見た目は大人びてても、まだアグネスは子供だ。
周囲に何と思われる?
アグネスは俺を怖がるかも?